宗教最新情報(2020/8/15)

■統一教会がすべてのフロント組織の名称に『天の父母様聖会』を付加？ 4月1日発表の新教団名『天の父母様教団』は封印されエイプリルフールネタに封印された4月1日の御言(上)と今回宣布した御言(下)(世界平和統一家庭連合公式チャンネルより) 本紙既報の統一教会の名称変更が、結果としてエイプリルフールネタとなった。 　先月、教団名を『世界平和統一家庭連合』から変更すると信者に配信した統一教会・家庭連合が、発表済みだった『天の父母様教団』への改称を取りやめた。 　一方、今月8日、現在の教団最高権力者である韓鶴子総裁が新たな御言（み言／みことば）を“宣布”、家庭連合を含むすべての“摂理”機関が『天の父母様聖会』なる新組織の「傘に入る」とした。これを受け、日本の徳野英治会長が17日の日曜礼拝に合わせた信者への配信で韓鶴子の御言を解説。 さらに韓鶴子は世界宣教本部を強化するとして、側近の尹�^鎬（ユン・ヨンホ）事務総長兼総裁秘書副室長を世界本部長に任命した。 　この路線変更により「キング・オブ・カルト（by藤倉善郎本紙総裁）」と評される組織の再編成の形に注目が集まっている。 日刊カルト新聞4.25

■カルトの道歩ませない 　オウム真理教　　地下鉄、松本両サリンや坂本堤弁護士一家殺害など、1989〜９５年に数々の凶悪事件を引き起こした。一連の事件では計29人が死亡し、約６５００人が負傷。松本元死刑囚をはじめ、死刑が確定した教団元幹部13人全員の刑が２０１８年7月に執行された。 　１９９５年の地下鉄サリン事件などを引き起こしたオウム真理教の教祖、麻原彰晃こと松本智津夫元死刑囚（執行時６３歳）ら教団元幹部13人の死刑が執行されてから、2年が過ぎた。ただ、人生に惑う若者たちを洗脳し、凶行に駆り立てたカルト宗教の脅威は過去のものではない。「二度と同じ若者を出したくない」。執行を機に、カルトからの脱会支援に踏み出した元死刑囚の支援者がいる。 　「井上君の反省や後悔を伝えていきたい。それが新たなカルト被害の防止につながり、彼の償いのもなるはずだ」。教団元幹部の井上嘉浩元死刑囚（同４８歳）と同じ高校の先輩で、石川県かほく市の浄泉寺住職、平野嘉之さん（５６）は話す。井上元死刑囚は高校2年で教団に入信し、苦行を重ねて「修行の天才」と教団内で祭り上げられた。 　松本元死刑囚の「側近中の側近」となり、地下鉄サリン事件などに手を染めた。　同窓の縁で、平野さんは２００６年、井上元死刑囚のもとに通い始め、東京や大阪の拘置所で30回以上、面会を重ねた。「一人の人間を絶対的に正しいと信じてしまったことが、自分の過ちだった」。井上元死刑囚はそう語り、若者がカルトに巻き込まれて同じような事件が繰り返されることを心配していたという。　平野さんに届いた手紙も２００通を超える。＜事件のすべての責任を自覚し、二度と事件が起きないように、できることに努めていきます＞。１８年2月の手紙に記されていた。それから5か月後の7月6日、井上元死刑囚の刑は執行された。 　「息子がカルトに入信して困っています」。執行後の18年秋、浄泉寺にある母親が相談に訪れた。　息子は大学在学中にカルトの布教活動にのめりこみ、周囲の注意に耳を傾けなくなったという。「オウムのような事件を起こしてしまうくらいなら、息子には死んでほしい」。泣いて訴える母親を見て、平野さんは「井上君と同じ。もう二度と、彼のような人を生み出してはいけない」と、脱会支援の活動を決めた。 　先月5日、浄泉寺の本堂で、死刑執行2年に合わせて教団の事件を振り返る集会が開かれた。「オウムを持ち上げ、若者の居場所がなかった社会にも責任があるのではないか」。平野さんは約40人の参加者を前に、事件の背景を考えることの大切さを訴えかけた。 　平野さんは19年、井上元死刑囚の支援者らとともにカルト被害防止団体「コンパッション」を設立した。井上元死刑囚の手紙などを収めた機関誌を全国の大学に送って各地で講演し、学生や保護司、宗教者らに元死刑囚との交流やカルトの問題点を語ってきた。「カルト被害にあうのは特別な人ではない。一歩間違えれば、誰だって当事者になる可能性がある。それを防ぐためには、カルトの危険性を伝えることが大事だ」 　新型コロナウイルスの影響で社会不安が広がる中、専門家はカルトの活動が活発化することを危惧する。「不安が広がるほど宗教に救いを求める人は増える」。カルト対策に取り組む「日本脱カルト協会」顧問の楠山泰道さん（７２）は指摘する。複数の専門家によると、宗教団体が「感染の災いから救ってくれるのは仏だけだ」と信者らに呼び掛けるケースが確認されている。主催者を明かさないまま自己啓発セミナーをオンラインで実施するケースもあり、カルトの勧誘の可能性がある。　公安当局によると、オウム真理教の後継団体の信者は現在、計約１６５０人に上る。後継団体の主流は「Ａｌｅｐｈ（アレフ）」は大規模集会を自粛する一方、分派の「ひかりの輪」は、ネット動画で「コロナ感染防止のための免疫力向上にヨガが良い」と呼び掛けている。ある公安関係者は「後継団体は今も松本元死刑囚の影響下にあり、警戒が必要だ」と指摘する。 　　　　　　　　　　　　　　（読売新聞　　8月9日）