| カルト最新情報(2004/12/15) |
| ■女性ふたり勇気の告発 ことは奇妙な裁判から始まりました。 ２００２年１１月、東京地裁。被告席には３人の創価大関係者。創価学会全国副青年部長という要職をつとめる創価大学生副課長Ｎ、同大剣道部監督Ｔ、そして創価大出身でＮＴＴドコモの子会社、ドコモシステムズの社員・嘉村英二被告です(各肩書きは当時)。 事件は、Ｔが交際する女性の男性関係を疑い、女性の素行調べをＮに相談。Ｎに依頼された嘉村被告がＮＴＴドコモの端末を不正に操作し、女性の通話記録(通話日時、通話先番号、通話時間)を引き出したという事件でした。 こんな事件に、創価学会側が異様な反応をします。被告についたのは１１人もの大弁護団。学会副会長３人を含み全員が学会系弁護士でした。 ところが、法廷では何も争わない。「反省している」と情状酌量を求め、ひたすら「私的で偶発的、一過性の事件」と繰り返しました。２時間余りの公判で即日判決。全員有罪(執行猶予つき)にもかかわらず、勝ち誇ったように退廷する被告や弁護団・・・。 「事件をこれ以上拡大させない」。そんな法廷戦術が露骨にみえる光景でした。 実は、事件は水面下で動いていました。当時、捜査中の警察から佐藤せい子さんと福原由紀子さんという二人の女性にそれぞれ電話が入りました。佐藤さんは創価学会と対立している日蓮正宗信徒団体「妙観講」副講頭。福原さんは学会脱会者で、さまざまな嫌がらせにあっていました。 事件を知っているかと確認したうえで警察が告げたのは、「(嘉村被告は)あなたの通話記録も引き出している」こと。「事件のことは知っていたけど、面識のない私たちの通信記録まで盗むとは・・・」と佐藤さん。驚いた二人は、警察の調べに応じ、福原さんは調書作成にも応じました。 創価大剣道部監督らの“素行調査”は０２年４月２５日の犯行。福原さんらの記録引出しはその１ヶ月半も前の３月上旬。誰がみても素行調査は“おまけ”で、福原さんらの事件が本命です。ところが警察は突然、福原さんらの捜査を中止。 “おまけ”の事件だけを立件しました。いったい、警察に何があったのかー。 事件を闇に葬らせてはいけないー。 佐藤さんと福原さんは意を決して０３年５月、嘉村被告と「氏名不祥の創価学会関係者」を東京地検に刑事告発しました。「告発人になればどんな仕打ちを受けるか。恐ろしかった。でも泣き寝入りでは本当の解決はない。勇気をふりしぼって」と語る福原さん。実は通話記録を盗まれただけではありません。福原さんは０２年３月、雑誌『フォーラム２１』発行人のジャーナリスト、乙骨正生氏と新宿近くで会った際、何者かに盗撮されたり、尾行された体験がありました。「本当に怖かった。私は自由に信仰して平凡に暮らしたいだけなんです。組織防衛のためと称して、人権をじゅうりんする犯罪が許されるのでしょうか」と訴えます。 地検特捜部は２日、実行犯の嘉村被告を逮捕、起訴しました。さらに、通話記録が盗み出された被害者のなかに、創価学会批判で知られる乙骨氏もいたことも地検の捜査で判明しました。「憲法が保証する通信の秘密だけでなく、信仰の自由、言論の自由への挑戦だ」と乙骨氏。「あの事件を想起せざるをえない」と言います。 宮本顕治共産党委員長(当時)宅盗聴事件です。創価学会の組織的犯罪だったことが裁判で確定しているにもかかわらず、学会側はいまだに一片の謝罪もしていません。盗聴の実行犯は２月、顧客データ流出事件にからむヤフーＢＢ事件の主要メンバーとして登場していました。 被害のすそ野は広く、背後は深いー。ＮＴＴドコモのシステムは１度の端末操作で１ヶ月の通話記録が手に入ります。福原さんらは少なくても２回操作されているから、２ヶ月分以上を盗まれています。福原さんらが電話した多数の人々のプライバシーも侵害されているのです。「実行犯は起訴されたけれど、第一歩にすぎない」と告発代理人の松井繁明弁護士。実行犯に福原さんらの存在を教え、犯行を指示した者がいなければ、事件そのものが成り立たなくなります。 警察はなぜ事件を闇に葬ろうとしたのか。ＮＴＴドコモは通信の秘密保持の義務がありながら、なぜ漏えいを放置してきたのか・・・。佐藤さんは訴えます。 「個人データの盗み出しは、私たち数人だけとは考えられません。警察には不信感を持っています。実行犯だけでなく、地検は全容を解明するまでいってほしい。そうでないと民主主義が根底から崩れます」 (赤旗 １１/21号） |